「早生まれ」という言葉を聞くと、同学年の子どもたちとの発達差をどうしても意識してしまいませんか?
筆者には3月生まれの長女(5歳年長)がいます。同学年になる予定の友人の子が伝い歩きを始めた頃、私はまだお腹が大きく、これから子育てが始まる状況でした。「この子は周りの子についていけるだろうか?」という漠然とした不安を抱えていました。
今回は、筆者と同じように早生まれのお子さんがいる方で不安を抱えている方への記事です。
- 早生まれの子どもを育てる中で実際に感じたデメリットとメリット3つ
- 私自身が「やってよかったこと」「やればよかったこと」
早生まれのデメリット
1. 保育園に入りづらい
生後2ヶ月まで保育園に預けることができないので、2月4日以降に産まれた子は0歳4月入園が難しくなります。私の場合、3月生まれの娘を年度途中で預けることも可能でしたが、まだふにゃふにゃの赤ちゃんの長女を保育園に預ける決断ができず、1年間自宅で育児をすることにしました。
その1年は、結果的には成長を間近で見守ることができ一生の宝物になりました。働けないことへの申し訳なさを感じる時期もありましたが、友人からは「仕事と違って、お母さんの代わりはいないよ」と声掛けされました。
1歳4月で入園は枠が少なく、入園できるかの不安で保育園に入れる選択をする方も多いですよね。
日本の体制が改善してほしいと強く思います…。
2. 成長の遅れが目立つ
新生児期には、友人の子が歩き始めている姿にまた不安を感じました。1歳で保育園に入園しましたが、食事のペースが遅かったり、咀嚼が不十分な場面があり保育園に預けることの不安は大きかったです。しかし保育園の先生にも恵まれ、不安な気持ちを相談することでしっかりサポートしていただけました。少しでも不安なことは、担任の先生か園長先生に相談しましょう。
入園時は周りの子供たちよりも幼く、できないことも多かったですが、小さいうちは本人が悔しいという感情も無かったので特にトラブルになることはなかったです。それよりも、先生たちや友達からの愛情をたっぷり受けたおかげで、自己肯定感の向上に繋がったと思います。
年中くらいからはどうしても「自分と人と比べる」場面も増えましたが、「他人ではなく過去の自分と比べる」考え方を意識的に育てることで、前向きな気持ちを持てるように促しています。
3. 学力や非認知能力が低い傾向にある
テスト等で数値化することが難しい内面的な力のこと
- 目標を達成する力(忍耐力・自己抑制・目標への情熱)
- 他者と協力する力(社交性・敬意・思いやり)
- 感情をコントロールする力(自尊心・楽観性・自信)
非認知能力は、いわゆる学力とされる認知能力と相互に影響し合っているとされています。つまり、非認知能力があってこそ認知能力が更に向上するということです。
しかし、2020年の東京大学大学院経済学研究科・山口慎太郎教授の研究で、早生まれの子は学力や非認知能力が遅生まれの子より低い傾向にあるという論文が発表されました。(研究論文リンク)
研究論文の内容は簡単にまとめると、以下の内容です。
- 早生まれの子どもは遅生まれに比べ、学力や非認知能力が低い傾向がある。
- 学力については、学年が上がるにつれ差が縮まる。
- 非認知能力については、差が埋まらない傾向がある。
- 早生まれの子どもたちは、学力を補うために塾や教育に力を入れる家庭が多いが、遊びやスポーツ、友人との関わりといった経験が減ることで、非認知能力を育む機会が少なくなる可能性がある。
一見、「早生まれってやっぱり不利なのか…」と悲しくなるニュースですね。しかし、私には「早生まれの子には、非認知能力を底上げするような関わりをすればいいんだな」と、長女への関わりを見直すきっかけになりました。
意識的に気をつけた点
項目 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
声掛け | 周囲の子と比べるのではなく、過去の娘自身と比べる。 娘の得意分野を伸ばして自信をつけてもらう。 | 自己肯定感↑ |
他者との関わり | 意識的に友人と関わる機会や、親族に会う機会を多く持つ。 | 愛着形成・社交性↑ |
外遊び | 無理のない範囲で機会を増やす。 泥遊びも本人がしたい時は許容範囲内で見守る。 | 創造&想像力・問題解決力↑ |
お家遊び | ままごと、ごっこ遊びに無理のない範囲で参加する | 想像力↑ |
非認知能力を伸ばすように意識することで、きっと上記の早生まれについての研究結果は変わるのではないかな、と思います。
早生まれのメリット
1. 早く集団生活に入れる
同年齢の子よりも、早生まれの子は保育園や幼稚園に早く入ることができます。保育園での活動は思っていた以上に、娘に刺激的でした。絵の具でぬたくりや泥んこ遊びなど家庭ではできない事をたくさん体験させていただきました。
娘も毎日楽しそうで、様々なことを吸収して帰ってきました。
特に社会性や適応力の発達はめざましく、ゲームのルール等も最初は理解できなかったものの、すぐに適応していきました。
2. 周囲から可愛がられる
月齢の低さから、先生や友人にたくさん気にかけてもらえました。その結果、自己肯定感が高まり、周囲に甘えられる柔軟さも身につけたように感じます。その影響なのか、初対面の子でもすぐに友達になれるコミュニケーションスキルを身につけています。公園でもその場にいる子と友達になるので、とても楽しく過ごせています。(両親ともに消極的なので、遺伝ではないです。)また過去に自分が優しくしてもらった経験からなのか、妹や年下の子をよくお世話して可愛がっています。
可愛がりすぎて、追いかけ回されたり上に乗られたりしていますが、微笑ましいです。
3. 挑戦する機会が多い
幼さからくるハンデを乗り越える経験を通じてなのか、かなり粘り強いです。現在もクラスの中で大きい方とは言えないので、かけっこで負けることもあります。しかし「悔しい」と泣きながら、「ママ、今度の日曜日早く走れるように、練習して!」と努力する場面が多く、親である私が尊敬する部分でもあります。
育児でやって良かったと感じること
好きなことに集中させる
モンテッソーリの考え方では、子どもが夢中になっている何かを、満足するまでやらせてあげることが大切ということが挙げられます。それにより集中力や達成感が得られ、自己肯定感も向上します。
また感覚統合の考え方でも、好きなことはとことんやらせてあげた方が良いです。それにより、コップに水を満たすように、満足するまで感覚入力をすることができます。(感覚統合については別記事をご参照下さい)
年中さんの時に初めて連続逆上がりができました
娘の場合は、鉄棒が大好きで毎日夕方遊んでいました。仕事終わりで早く帰りたい気持ちもありましたが、30分だけ遊ばせるようにしていました。毎日夢中で遊ぶうちに逆上がりや連続逆上がりができるようになり、周りから褒められる経験が、自己肯定感の向上に繋がりました。
早生まれで周りと比べて出来ないことにも気づく時期です。
でも、得意なことが1つでもあると自己肯定感がバク上がりします。
適度な先取り教育
本人のやりたい気持ちがない状態でのお勉強は禁物ですが、楽しんでくれるならぜひやった方が良いと思います。
娘の場合は、ひらがなの学習は「しまじろう」で楽しく取り組みました。年長の今はZ会に切り替えてしまいましたが、親が教えることなく「ひらがな」を身につけることができ、ベネッセ様に感謝しました。本当に、子育てのノウハウを研究し尽くしていますね。
今では図書館で本を借りて読書するのが、楽しみの一つになっています。
得意分野を伸ばす習い事
これも自己肯定感の向上や、集中力アップに繋がります。娘の場合は英語やスイミングを取り入れたことで、「自分は英語や水泳が得意」という自信を持てるようになりました。不思議と得意なことがあると、苦手である分野も頑張ろうという姿勢になります。
得意分野を伸ばすと、自分の中に太い柱を作ることができます。
育児の反省点
友人関係の過度な介入を控える
幼さゆえ、言葉足らずだった娘。友人関係で苦労してほしくないという気持ちが強く、喧嘩の際に娘にアドバイスを与えすぎたことを反省しています。思い切りぶつかり合う経験は、幼い間だからこそできること。
相手の気持ちを考えるきっかけを与える程度に留めるべきだった、と感じます…。
早生まれを意識しすぎない
クラスで一番早生まれだった長女。私には変な負い目のように感じていた時期がありました。しかし、親が早生まれを気にしていると、子どもも敏感に察知します。特に小さい時は無意識に周りの子と比べてしまっていたので、もっと素直に娘の成長を喜べばよかったと感じています。
本当にあっという間に、差は縮まります!
どうしても周りの子の成長が気になる時はあると思いますが、「子供の将来を考えて、色んな感覚・経験の種まきをすること」に注力してみて下さい。子どもの成長を改めて感じますし、それが将来子どもには確実に好影響となります。
まとめ
早生まれの子どもを育てる中で、年齢が小さいうちはどうしても不安がつきまといますよね。しかし、身体の大きさや学力の差は時間とともに埋まります。一方で、非認知能力の育成には特に意識が必要だと研究から明らかになっています。
長女の育児を通して、親や周囲の関わり方が子どもの自己肯定感をはじめとする様々な非認知能力に大きく影響すると実感しました。これから早生まれの子育てを始める方へ、少しでも参考になれば幸いです。
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